2004年10月11日
川俣晶の縁側辛口甘口雑記 total 6057 count

「IISしか使えないという時点でASP.NETは対象外になる運命」と「Webバブル崩壊の可能性」

Written By: 川俣 晶連絡先

 Javaとは、未だに究めるべき夢溢れる対象であるのか?に、なんだかどうにもやる気が無いWeblogの以下の記事よりトラックバック来ています。

 ここで「そうだ」と思ったのは以下の文章です。

サーバーサイドアプリケーションも、運用するWebサーバーが事実上IISしか使えないという時点でASP.NETは対象外になる運命。

 そう。そこですよ。

 最も腹が立つのはどこかといえば、突き詰めていくとその部分です。

 他のことは、まあいろいろと妥協してやっているわけです。ASP.NETの駄目な部分なども妥協して付き合っているわけです。しかし、業界の極端なIISアレルギーの勢いはすさまじいものがあります。実際、C#の方がJavaよりも良いという話を説得できた場合でも、「でもIISじゃ使えないよ」という一言で終わり、という事例も珍しくありません。

 どうして、みんなこうもApacheばかり信仰するのか。むしろ、Apacheこそが盤石な帝国であって、IISの方がApacheに挑む不遇なチャレンジャーという雰囲気すら感じてしまいます。

でもそれより問題は……Webバブル崩壊の可能性 §

 それよりも問題なのは、最近漠然と感じるWebバブル崩壊の可能性です。

 実は、IISだApacheだ、といった議論が丸ごと吹っ飛んでしまうのではないかという可能性を考え始めています。

 つまり、Webアプリケーションの時代が終わるということです。

 WWWの世界は、本来業務アプリケーションを動かすためのものではなく、ハイパーテキストの文書を閲覧するための手段だったはずです。それを、どこかの馬鹿者が「WebブラウザがOSになる」という訳の分からないことを言い出して、Webブラウザ上で業務ソフトを動かす風潮が生まれてしまったわけです。しかもTCO削減の追い風に乗って、「これは管理コストも安上がり」ということで普及してしまいましたが。実際に、WWWのサーバサイドアプリケーションを書いていて思うのは、不整合の多い継ぎ接ぎアーキテクチャ、あまりに問題の多い使い勝手、あって無いような標準、ホスティング先にPerlしかないからといった理由による古いプログラム言語の延命、等々、問題山積。これらを全て解決しつつこの先もWebアプリケーションで乗り切っていくのは無理ではないかと感じるわけです。これは、何かもっと別の優れた技術が出てきて取って代わられるという話ではなく、Webアプリケーションというアーキテクチャが自重に耐えられずに自壊するという予測です。

 それを考えると、IISだApacheだのと騒いだり、ASP.NETをいかに乗りこなすか努力している場合じゃないのかも、という気がしないでもないけれど……。仮に本当にWebバブルが崩壊するとしても、5年、10年先なら今から準備しても全て無駄になるだけだし。しかも、崩壊すると決まったわけでもないし。

 でもオーサリングの使い勝手がイマイチ良くない現在開発中のMagSite1の開発方針転換(あるいは最悪は放棄)も含めて考え時なのだろうか、と思い悩む今日この頃です。

 ちなみに、この予測は主に業務システムとしてのWebアプリケーションの話です。誰でも見られる公開されたネットサーフィンシステムとしてのWWWは当分使われ続けると思います。しかし、それはコンテンツ閲覧システムとしてであって、複雑な応用ソフトを操作するためではないと思います。